ブレンドコーヒーの作り方――ブレンドするタイミングは様々!

ブレンドコーヒーの作り方――ブレンドするタイミングは様々!

COLUMN 2023.05.01

コーヒーには「ストレート」や「シングルオリジン」といった単一地域や単一農園・単一品種で分けられたものもありますが、異なる産地のコーヒー豆を混ぜ合わせた「ブレンド」コーヒーも根強い人気を誇っています。

地域ごと、品種ごとの個性が感じられる「ストレート」や「シングルオリジン」に対して、「ブレンド」コーヒーではロースターの個性が感じられます。
どのコーヒー豆をどのような割合で組み合わせるか、それがロースターの腕の見せどころです。ひとつとして同じブレンドは存在しません。

コーヒー豆をブレンドすることによって、それぞれの銘柄の長所を引き立て合ったり、短所を補ったりと奥深い味わいを表現することができます。

また、コーヒーは農作物ですから、年によって品質や収穫量が変わります。ストレートやシングルオリジンでは年によって品質が変わったり価格が上下したりしてしまいますが、それらをブレンドすることによって一定の品質・一定の価格に安定させることもできるのです。

味わい・品質・価格と様々な面でメリットがあるブレンド。
今日はそんなブレンドコーヒーに注目して、作り方を詳しく見ていきたいと思います。

生豆の状態で混ぜ合わせてから焙煎するプレミックス

ブレンドコーヒーは単に複数のコーヒー豆を混ぜ合わせるだけだと思っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし実はそう単純ではなく、ブレンドコーヒーにはいくつかの作り方があるのです。

最初にご紹介するブレンド方法は、生豆の状態でコーヒー豆を混ぜ合わせてから焙煎するプレミックス」という作り方です。

プレミックスでは焙煎する「前に」コーヒー豆を混ぜ合わせるので「プレ」ミックスと言います。

【プレミックスの作り方】
①ブレンドに使うコーヒー豆の組み合わせを選び、ブレンドの比率で混ぜ合わせる
②混ぜ合わせたコーヒー生豆を一気に焙煎する

【プレミックスのメリット】
・一度で焙煎が終わるので、大量生産に向いている
・焙煎度が均一になるので、まとまりのある味わいになる
・焙煎度に合わせて抽出時のお湯の温度を調整しやすい

浅煎りのコーヒーは高温のお湯で抽出したり、深煎りのコーヒーは低めの温度のお湯で抽出したりと焙煎度によってお湯の温度を変える方は多いかと思います。
プレミックスのブレンドであれば焙煎度が均一なので、全体の焙煎度に合わせて抽出時のお湯の温度を調整しやすいですね。

一方でプレミックスにはデメリットもあります。

【プレミックスのデメリット】
・銘柄ごとの個性に合わせた焙煎ができない
・どの豆も同じ焙煎度のため平坦な味わいになりやすい

それぞれの銘柄ごとにベストな焙煎度は異なりますが、プレミックスでは銘柄ごとの個性にピンポイントに合わせた焙煎をすることはできません。
また、味わいにまとまりがある反面、それが平坦だとも感じられるようです。

以上がプレミックスの特徴でした。


コーヒー豆を個々に焙煎してから混ぜ合わせるアフターミックス

続いてご紹介するブレンド方法は、コーヒー豆を銘柄ごとに焙煎してから最後に混ぜ合わせるアフターミックス」という作り方です。

アフターミックスでは焙煎した「後に」コーヒー豆を混ぜ合わせるので「アフター」ミックスと言います。

【アフターミックスの作り方】
①ブレンドに使うコーヒー豆の組み合わせを選ぶ
②それぞれの豆を一種類ずつ焙煎する
③全部の豆を焙煎し終えたらブレンドの比率で混ぜ合わせる

【アフターミックスのメリット】
・銘柄ごとの個性に合わせた焙煎ができるため、ひとつひとつの美味しさを引き出しやすい
・複数の焙煎度の豆が混ざり合っているため、複雑な味わいになりやすい

ブレンドに使用する豆ひとつひとつの個性に合わせた焙煎ができるのがアフターミックスのメリットです。
甘みを引き出したい豆、果実みを引き出したい豆など豆に合わせて繊細な調整ができ、複数の焙煎度の豆が混ざり合うことで複雑な味わいも生まれます。

一方で、アフターミックスにもデメリットはあります。

【アフターミックスのデメリット】
・使う銘柄の数だけ焙煎しなければならず、作るのに時間がかかり大量生産には向かない
・豆ごとに焙煎度が異なるため、抽出時にお湯の温度を調整しにくい

焙煎度の異なる豆が混ざり合っているため、抽出時のお湯の温度に悩んでしまうのがアフターミックスです。
浅いところに合わせて高温で抽出すれば深い豆が過抽出になり、深いところに合わせて低めの温度で抽出すると浅い豆が未抽出になってしまいます。抽出に技術を要するとも言えるでしょう。

アフターミックスのブレンドは、ストレートやシングルオリジンで購入した豆を自宅で混ぜ合わせても作ることができます。
自分の好きな豆を好きなように組み合わせて、オリジナルブレンドを作ってみても楽しいかもしれませんね。

以上がアフターミックスの特徴でした。


ドリップ後のコーヒーを混ぜ合わせるブレンド方法も

プレミックス、アフターミックスとブレンド方法を見てきましたが、他にもブレンドの方法はあります。
それがドリップ後のコーヒーを混ぜ合わせる方法です。

【ドリップ後のコーヒーをブレンドする方法】
①ブレンドに使うコーヒー豆をそれぞれ焙煎する
②焙煎したコーヒーをひとつずつドリップする
③ドリップしたコーヒーをブレンドの比率で混ぜ合わせる

このブレンド方法は、ロースターさんがブレンドレシピを考える際によく行うそうです。
ブレンドに使う豆をひとつずつドリップし、スプーンなどで掬ってカップの中で混ぜ合わせては味を見て、比率を変えてまた味を見ます。

ブレンドレシピを何度も変えながら、ベストな組み合わせ・比率を探っていくのです。
そうして決定したブレンドレシピで実際に焙煎し、混ぜ合わせます。

豆の状態でブレンドをすると、レシピを微調整するたびにいちいちドリップをしなければなりません。
しかしドリップ後に混ぜ合わせるのであればドリップは最初の一回のみで良く、ブレンドレシピの微調整もしやすいです。


今日は様々なブレンドの作り方を見てきました。
多くのサイトではプレミックスとアフターミックスの二種類のみが紹介されていますが、実は他にもブレンドのやり方はあるのです。

自分で購入した豆を使ってオリジナルブレンドを作ることもできます。
ストレートやシングルオリジンで楽しむのも良いですが、世界にひとつだけのブレンドを味わってみるのも素敵な経験になるかもしれません。

美味しいオリジナルブレンドが出来たら、ぜひコーヒーヲタクのツイッターにリプライをくださいませ!
あなたオリジナルのブレンドレシピを聞かせてもらえたら嬉しいです。

この記事を書いた人

MAAYA YAMASHITA

コーヒーを愛してやまないフリーランスWebライター。ツイッター⇒@mayacafe24