冷めたコーヒーの美味しい温め直し方とは?

冷めたコーヒーの美味しい温め直し方とは?

COLUMN 2023.04.17

コーヒーを一度にたくさん溜め取りしたときなど、冷めたコーヒーを再加熱したくなる場面はしばしばありますよね。
ゆっくりと時間をかけて飲んでいたら冷めてしまった、なんてこともよく起こります。

やはりコーヒーは熱々で飲みたいもの。
冷めてしまったら温め直すよという方も多いのではないでしょうか。

そんな場合の再加熱はどのようにしていますか?
電子レンジ? それとも鍋に移し替えて温めているでしょうか?

実はコーヒーの再加熱は、やり方によっては風味が飛んでしまったり酸化してしまったりするため、注意が必要なのです。

こだわってコーヒー豆を選び、ていねいにドリップしているのに再加熱で味を落としてしまってはもったいないですよね。
なるべくなら美味しいままで味わいたいものです。

この記事では主な再加熱のやり方を比較し、風味が落ちにくい再加熱の方法を検証します。

電子レンジで再加熱する場合は弱でゆっくりと

ご自宅で冷めたコーヒーを再加熱するなら、一番手軽なのが電子レンジを使う方法ですね。
私も普段再加熱をする場合は、電子レンジを使うことがほとんどです。

電子レンジ対応のマグカップであれば容器を移し替える必要もなく、そのまま温めることができるのでとても楽ちんです。

そんな電子レンジでの再加熱ですが、果たして味わいはどう変わるのでしょうか?

まずは「強」モードで再加熱をすると……
・急な温度変化のせいか酸化が促進され、嫌な酸味のある味わいになってしまう
・温めムラができやすく、温めすぎてしまった箇所ではコーヒーが蒸発して煮詰まってしまう
このようなネガティブな味わいの変化が感じられました。

これではコーヒーの味わいが落ちてしまいます。いけませんね。

今度は「弱」モードで再加熱をしてみましょう。

「弱」モードで再加熱をし、加熱の途中で何度か全体を混ぜて均一に温まるようにしました。
すると……
・煮詰まったような味わいはいくらか感じられるものの、許容範囲である
・「強」モードで再加熱をしたときほど嫌な酸味はなかった
このような結果になりました。

電子レンジでコーヒーを再加熱する場合は、「弱」モードにして全体が均一に温まるようにすると風味の劣化が起こりにくいようです。

また、電子レンジでコーヒーを再加熱する際は安全のため「突沸」にも注意しましょう。
突沸とは、液体が沸点に達してもブクブクと沸騰せず「過加熱状態」になった場合に起こる現象です。
過加熱状態になった液体は外部からの刺激(振動など)が加わった際に、突然爆発するように沸騰します。
液体が零れて手にかかり、火傷の原因となるので注意が必要です。


小鍋で再加熱する場合は沸騰させないように

コーヒーヲタクのメンバーが以前勤めていたコーヒーショップでは、大きなネルドリップで溜め取りをして、注文が入るごとに1杯ずつ再加熱をして提供していました。
そのお店ではトルコ式コーヒーを淹れるのに使うイブリックという銅の小鍋で再加熱をしていましたが、ご自宅で再加熱をする場合はミルクパンなどを使っても大丈夫です。

コーヒーを小鍋に移して再加熱をする場合は、うっかり加熱しすぎて沸騰させてしまわないよう注意が必要です。
温度が高くなればなるほど水分が蒸発して煮詰まってしまうだけでなく、焦げや酸化といったネガティブな風味の変化も発生します。

できる限り弱火にして温め、ドリップコーヒーの出来上がり温度である70~80℃ほどになったら素早く火から下ろすのがコーヒーの風味を劣化させないためのコツです。

ミルクパンで弱火にして再加熱をすると……
・煮詰まったような苦みがいくらか感じられるものの、そこまでネガティブな風味ではない
・ドリップ直後と比べると香りがいくらか飛んでしまった感じがする
このような結果となりました。

お店での提供方法というだけあって、風味が酷く落ちるということはありませんでした。

一方で沸騰させてしまった場合は
・コーヒーが煮詰まってしまい苦みが感じられる
・舌がきゅっとなるような鋭い味わいがして美味しくない
・香りも飛んでしまい物足りない感じがする

というようにネガティブな風味の変化が感じられました。再加熱の際はくれぐれも沸騰させないように慎重に行いましょう。


湯煎でゆっくりと再加熱すると風味が飛びにくい

ご自宅で再加熱をする場合、最もゆっくりと温度が上昇するやり方が湯煎です。
小鍋で直火での再加熱では1~2分で飲み頃の温度になりますが、湯煎ではなんと8分ほどかかります。

湯煎でじっくりと再加熱をすると……
・若干の雑味は感じられるものの、そこまでネガティブな印象ではない
・嫌な酸味やえぐみはなく、美味しく再加熱できた
・いくらか煮詰まったような印象は否定できない

今回の検証で一番美味しく再加熱できたのが湯煎でした。

電子レンジでも「強」よりも「弱」の方が美味しく再加熱ができましたが、どうやらゆっくりと温度を上昇させるとネガティブな風味の変化が起こりにくいようです。再加熱の際に意識したいポイントですね。


今回の実験では、コーヒーの再加熱をする際は急激に温度を上げてしまうとネガティブな風味が出てしまうことがわかりました。
加熱をするとどうしても水分が蒸発してしまい煮詰まってしまいますが、ゆっくりと加熱をすればネガティブな風味の変化は最低限に抑えることができるようです。

淹れたてのコーヒーを熱いうちに飲むのが一番美味しいですが、もし冷めてしまって再加熱をしたいという場合は、なるべくゆっくりと加熱をするように心がけてみましょう。
毎回湯煎をするのは現実的ではないかもしれませんが、電子レンジの「強」で温めていたところを「弱」に変えるくらいならできる、という方も多いのではないでしょうか。

せっかくていねいにドリップしたコーヒーなのですから、最後まで美味しく飲みたいものですよね。
熱々のうちに飲みきってしまうのが一番ですが、冷めてしまったらゆっくりと再加熱をして、美味しさを蘇らせて楽しみましょう。

この記事を書いた人

MAAYA YAMASHITA

コーヒーを愛してやまないフリーランスWebライター。ツイッター⇒@mayacafe24