カフェラテのミルクがぬるいのは何故?牛乳の温度と甘さの関係とは

カフェラテのミルクがぬるいのは何故?牛乳の温度と甘さの関係とは

COLUMN 2023.04.24

コーヒーはブラックで飲んでももちろん美味しいですが、ミルクを入れても飲みやすく味わいが変化しますよね。
カフェラテはラテアートを楽しむこともできますので、目で味わい、舌で味わい一杯で二度楽しめるのが魅力です。

ブラックコーヒーも大好きですが、負けず劣らずカフェラテも大好きです。
どちらにもそれぞれの良さがありますよね。

そんな魅力たっぷりのカフェラテですが、フォームミルクがぬるいと感じたことはありませんか?
ブラックコーヒーだと火傷しそうなほど熱いのに、カフェラテの温度はそれほどではないと思われているかもしれません。
実はミルクにこだわっているお店ほど、フォームミルクを熱々にはしておらず、ぬるくてクレームが来るほどなのです。

熱々であればあるほど美味しくなりそうなものですが、現実にはそうではないのは一体なぜなのでしょうか?
これには牛乳の甘さを感じやすい温度や、タンパク質の変性する温度が関わっています。

それでは牛乳が最も甘く感じる温度は何度なのでしょうか?
そして牛乳は何度以上になると固まってしまうのでしょうか?

この記事を読めば、カフェラテのフォームミルクの温度がなぜぬるめに設定されているのかがわかりますよ。

乳清タンパク質は65℃付近から変性が始まり75℃で凝固する

牛乳には様々な栄養素が含まれていますが、まず最初に注目したいのがタンパク質です。
牛乳には二種類のタンパク質が含まれています。それが「カゼイン」と「ホエイ(乳清)」です。

カゼインは熱安定性があり、100℃以下の加熱ではほとんど変化をしません。
しかしもう一方のタンパク質であるホエイは熱に弱く、65℃付近から変性が始まって75℃で凝固してしまいます。
そう、凝固するのです。

生卵を茹でると固まるように、牛乳のタンパク質も加熱をすると固まってしまうのです。
茹で卵を冷やしても生卵に戻らないように、牛乳も一度固まってしまうと温度が下がっても元には戻りません。取り返しがつかないのです。

フォームミルクが固まってしまっては、口当たりが悪くなってしまうことは想像に難くないでしょう。
適温を超えてしまったフォームミルクの泡は硬く粗くなり、滑らかな口当たりではなくなってしまうのだそうです。
これでは見た目にも艶めくミルクではなくなってしまいます。

美味しいカフェラテを作るには、滑らかなフォームミルクの存在は欠かせませんよね。

牛乳が固まってしまわないようにするとなると、フォームミルクの温度は65℃以下にするのが望ましいということがわかります。


牛乳の甘さを最も感じやすい温度は60℃~65℃

カフェラテのミルクは、砂糖を入れていなくても甘さを感じるものだと思います。
どうしてミルクが甘く感じるのでしょうか?
それは牛乳にはラクトース(乳糖)という甘味成分が含まれているからで、ラクトースは温められることによって甘さをより強く感じられるようになるのです。

このラクトースを最も甘く感じられる温度というのが、60℃~65℃だと言われています。
65℃以上に加熱してしまうとラクトースの甘さを感じにくくなるだけでなく、加熱臭という牛乳独特の嫌なニオイも発生してしまうのです。

加熱臭を発生させず、牛乳の甘さを引き立てる温度としてフォームミルクの温度は60℃~65℃に設定されています。


低温から高温まで――牛乳の殺菌方法の種類

ここまでで牛乳のタンパク質が固まる温度をお伝えしました。
ここでふと疑問に思うのが、牛乳というものは殺菌処理の過程で加熱されているのではないか? ということです。

牛乳の殺菌方法は、温度・加熱時間別に様々なものがあります。

・低温保持殺菌(LTLT法)……生乳を保持式で63~65℃で30分間加熱殺菌する方法
・連続式低温殺菌(LTLT法)……生乳を連続的に65~68℃で30分以上加熱殺菌する方法
・高温保持殺菌(HTLT法)……生乳を保持式で75℃以上で15分以上加熱殺菌する方法
・高温短時間殺菌(HTST法)……生乳を72℃以上で連続的に15秒以上加熱殺菌する方法
・超高温瞬間殺菌(UHT法)……生乳を120~150 ℃ で2~3秒間加熱殺菌する方法

このように牛乳の殺菌方法は様々なものがありますが、日本で市販されている牛乳の9割以上がこの内のUHT法で殺菌されています。
殺菌にかかる時間が短いので、大量の牛乳を処理できるためです。

しかしUHT法の殺菌では、タンパク質の変性温度を超えてしまいます。
高温殺菌ではフォームミルクにした際に質感が悪くなってしまうため、牛乳にこだわるお店では、低温や中温での殺菌処理を行った牛乳を特別に仕入れていることもあります。
中には契約している農場に低温殺菌のための施設を入れているお店もあるほどです。

フォームミルクにする際の温度にこだわるのであれば、できれば殺菌処理の際の温度にもこだわりたいものですね。


牛乳のタンパク質が変性する温度、そして牛乳が最も甘く感じられる温度から、カフェラテのフォームミルクの温度が決められていることがわかりました。
カフェラテのミルクの温度がややぬるく感じるのは、それが最も美味しく味わうことができるからだったのですね。

今度からカフェラテがぬるく提供されても、納得して飲むことができるのではないでしょうか?
むしろカフェラテの出来上がり温度が低ければきちんと牛乳の美味しさを引き出しているということですから、喜んで飲むことができるかもしれませんね。

この記事を読んでカフェラテへの見方が変わり、より美味しく飲めるようになることを願っています。

この記事を書いた人

MAAYA YAMASHITA

コーヒーを愛してやまないフリーランスWebライター。ツイッター⇒@mayacafe24