カフェインレスコーヒー専門店「フミヅキコーヒー」さんに取材して、カフェインレスをもっと深掘りしてみた!

カフェインレスコーヒー専門店「フミヅキコーヒー」さんに取材して、カフェインレスをもっと深掘りしてみた!

COLUMN 2023.01.30

昨年末に、カフェインレスコーヒーの解説記事を書きました。
⇒「デカフェ/カフェインレスコーヒーの作り方3種類を解説!それぞれの特徴とは?

こちらの記事で予告していた、仙台でカフェインレスコーヒー専門店を営むフミヅキコーヒーさんに、メール取材をすることが叶いましたので、今日はカフェインレスコーヒーについてもっと深掘りしたいと思います!

フミヅキコーヒーさん、ご協力ありがとうございました。
フミヅキコーヒーさんのネットショップへはこちらからどうぞ)
カフェインレスコーヒー専門店が語るカフェインレスコーヒーの世界をどうぞご堪能ください。

(メール取材ですが、読みやすいように本文を加工しています。ご了承ください)

※本文内では基本的に「カフェインレス」の表記を使用しておりますが、フミヅキコーヒーさんからのご回答部分のみ「デカフェ」と原文の響きをそのまま残しております。諸説はありますが、この記事ではカフェインレスとデカフェは同じ意味で使用しております。

フミヅキコーヒーさんはこんなお店!

フミヅキコーヒーさんは、実店舗はまだなくて、ネットショップで活動しているお店です。
カフェインレスコーヒー専門店としておいしいカフェインレスコーヒーを常時4種類以上も販売してくれている、カフェインレスしか選択肢がない人にとっては救世主のような存在です。

第3回のコーヒーシティフェスティバルではゲストシティ仙台からの出店として参加してくださり、最終日を待たずに完売してしまった超人気店でした。

お店の人からのメッセージ――
「自分好みの味のデカフェコーヒーに出会えるように人気の3種類を一気にお試しできる「お試しセット」も販売しているので、今までデカフェを飲んだことがなかった方も、美味しいデカフェを探していた方もぜひ一度お試しいただけると、とても嬉しいです。」

そんなフミヅキコーヒーさんに、メールにて取材をさせていただきました。
フミヅキコーヒーさんの扱うカフェインレスコーヒーについて、深掘りしていきます。


フミヅキコーヒーさんで取り扱っているカフェインレスコーヒーの製法は?

Q.フミヅキコーヒーさんで取り扱っているカフェインレスコーヒーの製法にはどういったものがありますか?

現在取り扱っているのは
・スイスウォータープロセス
・マウンテンウォータープロセス
の2種類の製法です。

なるほど、「ウォータープロセス」系の2種類を取り扱っていらっしゃるのですね。

Q.その中で特にフミヅキコーヒーさんがイチオシだったり、気に入っている製法のものはどれですか?

気に入っている製法は、マウンテンウォータープロセスです。
ただ、製法によって明確な違いが大きくあるわけではないと思っています。

最近は技術が向上しているため、「スイスウォータープロセスよりもマウンテンウォータのほうがいい!」と明確に言えるわけではないと感じています。

カフェイン除去の技術も進歩していって、一概に「どちらの方がおいしい」とは言えない状況になってきているのですね。
コーヒーの世界の進歩はすごいなとアナエロビックなどの新たな精製方法でも感じることが多いですが、カフェインレスの作り方も日進月歩なのですね。

もちろん、カフェイン除去方法によって違いはゼロではないのですが、それよりも味わいの違いが出る点としては、生産国や豆ごとの個性の違いが大きいと思っております。

カフェインレスのプロセスよりも、生産国ごとの風味の差や豆の個性の差の方が味わいとして大きな変化を感じられるのですね。

けれどどちらかといえばマウンテンウォータープロセスが気に入っていらっしゃるとのことでした。詳しくお伺いできますか?

カフェイン除去のプロセスの違いとしては、スイスウォーターは、繰り返し水溶液を通す加工によってカフェインを除去していきます。
一方でマウンテンウォータプロセスは、加圧、加熱することによってカフェインを除去するため、豆の風味が失われにくく、焙煎したときに豆の個性が出しやすいという違いはあると思っています。

なるほど、スイスウォータープロセスでは何度も水溶液に豆を通していく中で風味が失われてしまいやすい部分があるけれど、マウンテンウォータープロセスではその欠点が補われているのですね。


超臨界二酸化炭素抽出法も今後取り扱いたいとのこと

Q.現在は「超臨界二酸化炭素抽出法」は取り扱っていらっしゃらないとのことですが……。

豆の持っている個性をさらに出しやすい製法として、「超臨界二酸化炭素抽出法」のコーヒーは意識しています。

超臨界二酸化炭素抽出法は、二酸化炭素を利用してカフェインを除去する製法です。
この製法は環境負荷が少なく短時間でカフェインを除去するため、豆の持っている個性をより出しやすいというメリットがあります。

ただ、デメリットとして価格がどうしても高くなってしまうことが挙げられます。

うう、おいしいけれどお値段が上がってしまうのですね。悩ましいところですね。

はい、私たちはなるべく購入していただきやすい価格で提供をしていきたいと思っているので取り扱っていなかったのですが、今後検討していきたいと思っている製法です。


カフェインレスコーヒーならではの焙煎の工夫

Q.素朴な疑問なのですが、カフェインレスコーヒーと普通のコーヒーって焙煎のやり方は異なるものなのでしょうか?
普通のコーヒーとの違いや、カフェインレスならではの焙煎の工夫などあればお伺いしたいです。

焙煎時の違いは様々あるのですが、特徴的なのは、視覚で見える焙煎の進行具体が違う点です。
デカフェのコーヒー豆は、生豆の状態でも色味が濃く、焙煎の進み具合も通常の生豆よりも速く感じます。

たしかに、コーヒーシティフェスの時に拝見したカフェインレスの生豆は茶色がかっていましたね!
私も焙煎を体験したことがあるのですが、どの程度焼けているかは「焼き色」で判断する面もありましたので、普通のコーヒー豆とは色が異なるカフェインレス生豆は焼きにくそうです……。

そうですね。そのため、視覚的な焙煎度合いの確認より、焙煎時間や焙煎中に聞こえてくる音で調整をしております。

なるほど、1ハゼ、2ハゼなど焙煎の進行で豆がパチパチと弾ける音が調整の参考になるのですね。

日々焙煎の調整をしながら、飲んだ瞬間にデカフェでも「おいしい!」と豆の個性を感じてもらえる味わいを出せるように、豆のポテンシャルを最大限引き出せるレシピを常に考えて、改善を繰り返してます。
実際の味はぜひネットショップからご購入いただき、楽しんでいただきたいです。

そんなフミヅキコーヒーさんのネットショップはこちらからどうぞ!


カフェインレスコーヒーにかける想いを伺ってみた

Q.フミヅキコーヒーさんがカフェインレスコーヒーにかける想いを熱く、熱く、コーヒーヲタクの読者さんに聞かせていただけますか?

デカフェコーヒーを扱い出したきっかけは、自分好みの味のデカフェコーヒーを見つけるのが難しいなと感じたことでした。

私たちは、夫婦で運営をしています。二人ともコーヒーは大好きだけど、カフェインが苦手でした。
そのため、コーヒーを楽しむために、デカフェコーヒーを探すことにしました。

ご夫婦揃ってカフェインが苦手で、カフェインレスコーヒーをお探しだったのですね。

そうなんです。
ただ、一般的なカフェで提供されるデカフェは1~2種類が主流で、3種類以上の選択肢から自分の好みの味わいを選べる機会やお店があまり多くはありませんでした。
ですので、気に入ったデカフェを見つけるのにはとても苦労をしました。

そうですね……。私がよく利用するお店でも、カフェインレスコーヒーは1種類置いてあるかな程度で、2種類も置いているお店を見つけることすら稀です。

それだけではなく、デカフェコーヒーの味は通常のカフェインありのコーヒーと比べておいしくないというのが、ここ数年までの一般的なイメージだったと感じています。
そのため、妊婦さんやカフェインが苦手な方などが、一般的なコーヒーの代用品として「仕方なく」飲む物であり、日本におけるデカフェ輸入量はコーヒー総輸入量の1%にも達していないのが現状です。

私自身も、カフェインレスコーヒーは普通のコーヒーと比べて「味気ない」と感じてしまうことは今まで否めなかったです。
カフェイン自体が「苦み成分」であるから、カフェインを抜くと味わいが変化してしまうからかなぁとも思っていたのですが……。

そのような経験から私たちフミヅキコーヒーでは、自分の好みに近い味わいのデカフェコーヒーに出会える機会を提供したいと思い、風味の違う4種類以上の品種を常に販売しています。
デカフェだから味に「妥協して」飲むのではなく、美味しさや品種ごとの味の違いを楽しむことを諦めることがないように、もっとデカフェを身近に感じていただける機会を提供していきたいと思ってます。

ありがとうございます。
フミヅキコーヒーさんでなら、自分が「おいしい」と思えるカフェインレスコーヒーに出会えるのではないかと思うことができました!


フミヅキコーヒーさん、たくさん丁寧にお答えくださり、ありがとうございました。

お店の方にお話を伺うと、調べるだけでは出会えない「生の声」を知ることができて、本当に貴重な機会をいただけているのだなと感じます。

私は特に、カフェインレスコーヒーならではの焙煎の難しさと、カフェインレスコーヒーの輸入量の少なさに驚きました。

カフェインレスコーヒーの生豆の色を見たときに想像できた方もいらっしゃったかもしれませんが、あの色では確かに焼き色の確認は難しそうですよね。
焙煎の進み方も早く感じるとのことでしたが、カフェイン除去の際に熱処理の工程があることが原因だったりするのでしょうか?
ひとつ物事を知ると、新しい疑問が湧いてきますね。

カフェインレスコーヒーを扱うスペシャルティコーヒーショップも多いですが、1種類しか置いていなかったら「仕方なく」それを選ぶしかない人も多いですよね。
カフェインレスコーヒーは「探せばある」ものだと思っていましたが、コーヒー総輸入量の1%にも満たないとは……。

カフェインレスコーヒーって、必要としている人は多いのに供給は少なかったのですね。

おいしいカフェインレスコーヒーがどれほど貴重か、痛感するインタビューとなりました。
フミヅキコーヒーさん、ご協力ありがとうございました。

フミヅキコーヒーさんのネットショップへはこちらからどうぞ。
自分好みのカフェインレスコーヒーを探せる「お試しセット」など、あなたの気に入るカフェインレスコーヒーに出会えることを祈っています。

この記事を書いた人

MAAYA YAMASHITA

コーヒーを愛してやまないフリーランスWebライター。ツイッター⇒@mayacafe24