【検証】水出しコーヒーは、使う水によって味が変わるのか!?【軟水・水道水・硬水】

【検証】水出しコーヒーは、使う水によって味が変わるのか!?【軟水・水道水・硬水】

SPECIAL 2023.07.10

夏といえば、アイスコーヒーの季節ですよね。
でも「急冷式のアイスコーヒーだと淹れるときに暑い……」なんて悩みはありませんか?

そんな人におすすめなのが、水出しアイスコーヒーです。

コーヒー粉をお茶パックや出汁パックに入れて、常温で8時間放置(または冷蔵庫で放置)するだけで出来上がる水出しアイスコーヒーは、暑い思いをせずに美味しいアイスコーヒーが飲めるという、真夏の味方です。

今日はそんな水出しアイスコーヒーを抽出するときに使う「水」に着目して、実験をしてみたいと思います。

・軟水のミネラルウォーター
・普通の水道水
・硬水のミネラルウォーター

この3種類の水を使って水出しアイスコーヒーを作ってみました。
味わいはどのように変わるのでしょうか?

水出しアイスコーヒー比較実験のやり方

浅煎りと深煎り、コーヒーの焙煎度によっても大きく味が異なるかと思います。
そのため、今回の実験では2種類の焙煎度のコーヒー豆を使用しました。

写真左が「charging…」というハイロースト(浅煎り)のブレンドコーヒー。
写真右が「dress_up」というフルシティロースト(中深煎り)のブレンドコーヒー。
どちらもcommonoが運営しているカフェKiosQのコーヒー豆を使わせていただきました。

水出しコーヒーを抽出するのに使用した水は、軟水のミネラルウォーターである「南アルプスの天然水」(硬度約30mg/L)と、硬水のミネラルウォーターである「evian」(硬度304ml/L)、それから自宅の水道水(硬度約25ml/L前後なのでは? とのこと)の3種類です。

「南アルプスの天然水」と水道水の硬度が近くなってしまいましたが、果たして私の舌で味の差がわかるのでしょうか……。


【水出しアイスコーヒーレシピ】

<使用するもの>
・中細挽きのコーヒー…30g
・水…500cc

<抽出方法>
・常温にて8時間放置

このように正確に豆の重さを量って、水出しコーヒー用の不織布パックに入れました。

水の量も500ccちょうどにして

コーヒー粉の入った袋を水に浸けて、8時間経ったらコーヒー粉を取り出します。
冷蔵庫で冷やしたら完成です。


浅煎りコーヒーで水出し実験をした場合の味の違い

まずは浅煎りのブレンドコーヒー「charging…」を3種類の水で抽出してみました。

若干水道水で淹れたものの色が薄く見えますが、これはカメラのレンズの加減で、中央が明るく撮影されてしまっているためです。
肉眼では水道水と「南アルプスの天然水」はほとんど同じ色で、「evian」で淹れたものの色が僅かに濃いような感じがしました。

まずは味の違いを5段階で評価してみます。

 天然水   水道水   evian 
 苦味   1   1.5   2.5 
 コク   1   1   2 
 香り   3.5   3   0.5 
 甘み   3   2   1 
 酸味   3.5   4   1 

「南アルプスの天然水」と水道水の味評価は似たような結果となりましたが、「evian」だけが異質な味わいを放っています。
それぞれの味わいについて、じっくりと飲み比べてみました。

軟水のミネラルウォーター(南アルプスの天然水)での水出しコーヒーレビュー

アイスコーヒーなので湯気と共に立ち上る香りというものは無いものの、飲み込んだ後に口内に残る香りは一番強く感じられました。
気持ちの良い後味です。
フルーティーで飲みやすく、酸味と甘みのバランスの良い浅煎りアイスコーヒーでした。
ミルクやガムシロップを入れたらジュース感覚でぐびぐび飲めそうという印象もありました。

水道水での水出しコーヒーレビュー

天然水と硬度の差があまり無いため、味わいの差は正直わかりにくかったです。
雑味がなくてスッキリした味わいで、浅煎りのコーヒーらしさを強く感じられました。
豆本来の味わいが一番出ていたのでは? と感じました。
フルーティーな酸味が天然水よりも強く、けれどあっさりとしていて飲み疲れない印象です。

硬水のミネラルウォーター(evian)での水出しコーヒーレビュー

これまでの2種類とは全然違う味で、苦味のような渋みのような味が強く出ていました。
浅煎りらしい甘酸っぱさは感じられず、口内に残る香りも「香ばしさ」に寄っている感覚です。
苦味・渋みの成分だけが過剰に抽出されていて、浅煎り本来の甘みや酸味が抽出されていないのでは? と思いました。
はっきり言うと、ズバリ「美味しくない」です。


中深煎りコーヒーで水出し実験をした場合の味の違い

続いて中深煎りのブレンドコーヒー「dress_up」を同じく3種類の水で抽出してみました。

こちらはカメラのレンズのせいではなく、「南アルプスの天然水」の色が濃く抽出されました。
続いて僅かな差で「evian」の色が濃い(ような気がする)、一番明るい色が水道水で抽出したものとなりました。

こちらも味の違いを5段階で評価してみます。

 天然水   水道水   evian 
 苦味   5   4   7 
 コク   3   2.5   2 
 香り   4.5   3   3 
 甘み   3   2   1 
 酸味   1   1.5   0 

この結果を予想していた読者の方も少なくないかと思います。
やはり「evian」だけが異質な味わいとなってしまいました。

それぞれの味の特徴について、じっくりと飲み比べてみましょう。

軟水のミネラルウォーター(南アルプスの天然水)での水出しコーヒーレビュー

3種類の中で一番濃く抽出されているものの、濃すぎて飲みにくいということはなく、コーヒーらしい軽やかな苦味です。
飲み込んだ後に残る香りも軽く香ばしく、甘みも感じられます。
口当たりが滑らかな印象で「専門店で提供されるようなとても美味しいコーヒーを飲んでいる」という幸福感に包まれます。
スペシャルティコーヒーらしさが一番出ていたのが、天然水で淹れたコーヒーだったと感じました。

水道水での水出しコーヒーレビュー

香りは天然水とほとんど変わらないものの、味わいは酸味がやや強めで苦味が弱めに感じました。
天然水で感じた軽やかな印象が水道水には無く、「おうちコーヒー」としては充分な美味しさではあるものの、お店のコーヒーのような感動はありませんでした。
フルーティーさが出ていてスッと飲めるアイスコーヒーらしいアイスコーヒーではありました。

硬水のミネラルウォーター(evian)での水出しコーヒーレビュー

「約束されし不味さ」でした。飲む前から想像はついていましたが、これは飲めたもんじゃありません。
豆の個性も品質の高さも全てが台無しにされていて、「絵の具の味」が一番近いと一緒に検証したメンバーが呟いていました。
豆の品質が高いため雑味は無いものの、苦味の質が他2種類のアイスコーヒーとは違い、良く言えば「安い味」、悪く言えば「嫌がらせのような味」でした。


【まとめ】水出しコーヒーを作るのに向いている水は!?

浅煎り、中深煎りのコーヒーで検証をしてみた結果、軟水のミネラルウォーターである「南アルプスの天然水」で淹れた水出しコーヒーが最も美味しく感じられました。
しかし、水道水とは誤差程度の味の違いです。

こだわって良いお水でコーヒーを淹れたいという方にはミネラルウォーターの使用をおすすめしますが、水道水でも充分美味しいと感じられる方には、無理に水にお金をかけなくても良いのではないかと思います。

水道水の硬度には地域差があり、雨が降った後など天候にも左右されます。
「いつも同じ味」にはならないですが、そんな一期一会の味との出会いもひっくるめて、コーヒーを愛せたら素敵なのではないかなと私は思います。

ちなみに「evian」で淹れたコーヒーがあまりにも美味しくなかった理由ですが、コーヒー豆(粉)からコーヒーの成分が抽出されるのには、「カルシウム」と「マグネシウム」が関わっています。

硬水である「evian」にはこのカルシウムとマグネシウムがふんだんに含まれており、コーヒーの成分が抽出されすぎてしまったのです。

カルシウムやマグネシウムは少量添加するだけであれば、コーヒーの中から狙った風味のみを適切に引き出すこともできます。
近年の大会では、ミネラルを適量添加する「カスタムウォーター」を使うバリスタさんもいますので、調べてみるとコーヒー沼の深みにハマって、楽しいことになるのではないでしょうか。


以上、水の違いによる水出しアイスコーヒーの味の比較実験でした!

楽しんでいただけたでしょうか?
私は「evian」で淹れたコーヒーが不味くて不味くて大変な思いをいたしました……。

日本の水道水は地域差はあれど、どの地域も軟水の水準に収まるようですので、安心してコーヒーを淹れてくださいね。

実験結果の感想や、今度はこんな実験もしてみてほしいなどご要望がありましたら、コーヒーヲタクのツイッターまでお気軽にリプライくださいませ。

暑い夏も、冷たいアイスコーヒーを飲んで乗り切りましょうね。

アイスコーヒー作りに便利なコールドブリューメーカーのおすすめをこちらの記事で紹介しています。
【10選+1】コールドブリューメーカーおすすめ。アイスコーヒー作りに
併せてご覧くださいませ。

この記事を書いた人

MAAYA YAMASHITA

コーヒーを愛してやまないフリーランスWebライター。ツイッター⇒@mayacafe24
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