ドリッパーによる味の違いってどれくらいあるの?飲み比べてみた!

ドリッパーによる味の違いってどれくらいあるの?飲み比べてみた!

COLUMN 2022.11.14

コーヒーを好きになっていくと、自然と集めてしまうのがドリッパーですね。
次のドリッパーは何を買おう、あのドリッパーも気になるなぁ、と私も日頃から新しいドリッパーにアンテナを張っています。

初めてのドリッパーに、次のドリッパーに、どちらの場合でも購入前に気になるのが「ドリッパーによるコーヒーの味への影響」です。

この記事ではメジャーなドリッパー5種類を同じ抽出レシピで飲み比べし、それぞれのドリッパーの特徴を比較しています。

コーヒーの書籍ではドリッパーごとの味わいの特徴を解説しているものもありますが、「カリタ式、メリタ式、ハリオ式」の従来のドリッパーの違いについて述べたものに過ぎないものも多いです。

近年ではORIGAMIドリッパーなど新しいドリッパーも登場してきて、人気も高まっています。

この記事では
・ハリオ V60透過ドリッパー(プラスチック)
・ORIGAMIドリッパー(陶器)
・ORIGAMI Airドリッパー(プラスチック)
・ウェーブドリッパー(ステンレス)
・カリタ 台形ドリッパー(陶器)
これら5種類の味の違いを比較しています。

実験時の抽出レシピ

ドリッパーの味わいの差を比べる今回の抽出レシピは、淹れるたびに差がでにくいように、数字ではっきりとコントロールがしやすい4:6メソッドを利用しています。

お湯の温度:92℃
使用する豆:ブラジル ハニー精製(スペシャルティコーヒー)中煎り
リンス(抽出前にフィルターにお湯をかけること):有り(※フィルターごとの紙の味の差が影響しないようにするため)

抽出レシピ

0秒~45秒 45秒~1分30秒 1分30秒~2分15秒 2分15秒~3分 3分~落ちきり
60cc 120cc 180cc 240cc 300cc

ドリッパーごとに落ちきるまでの時間に差があるかも計測しています。


ハリオ V60透過ドリッパー(プラスチック)+アバカフィルター

ハリオのV60ドリッパーは特に人気なドリッパーのひとつだと思います。
値段も安価で、最初のドリッパーに選ぶ人も多いですね。

安価ではありますが性能が悪いということは決してなく、むしろおいしくコーヒーを淹れられる名ドリッパーのひとつです。
V60は使っている人が多いメジャーなドリッパーということで、V60用のレシピも多く出回っていることも初心者が手を出しやすい理由のひとつだと思います。

V60ドリッパーで淹れたコーヒーは、まず最初に香りが濃厚に立ち上ってきました。
飲んでみれば甘さが強く感じられ、フレーバーはびんびん!
甘さと酸味のバランスが良くて、ブラジルの特徴である「バランスの良さ」が見事に生かされた抽出となりました。

クリアな味で雑味が少なく、とても飲みやすいです。

時間が経ち温度が下がるとトロリとした感じが出てきて、コクが増したように感じました。
冷めていくにつれてフレーバーが掴みやすくなり、スペシャルティコーヒーらしい複雑な味わいが感じ取れるようになりました。
味わいが複雑になっても雑味はなく、飲みやすさは持続したままです。

完全に冷めてしまうとさすがに味が落ちてしまったので、熱々のまま飲むのがおすすめだと感じました。

落ちきり時間:5分10秒
5段階評価:甘み5、酸味2.7、苦み1、香り6、コク1

V60では特に甘みと香りを強く感じました。初心者でも抽出しやすいドリッパーです。


k-ai ORIGAMIドリッパー(陶器)+アバカフィルター

ORIGAMIドリッパーはハンドドリップの世界大会で優勝した中国人選手(※)が使っていたドリッパーとして一躍有名になった国産ドリッパーです。
(※2019年のワールドブリュワーズカップに中国から出場したドゥ・ジャーニンさんがORIGAMIドリッパーを使用して優勝しました。)

ギザギザを折って開いたような形が折り紙のようだということで、ORIGAMIドリッパーと名付けられています。
少し値段は張りますが、色展開も豊富で自分らしいコーヒータイムを実現できる、ということで、愛用しているコーヒーラバーは少なくありません。

ORIGAMIドリッパーで淹れたコーヒーは、V60ほど強い香りは感じられませんでした。
酸味が強く出て、甘みが抑えられたので果実感が増したように感じられます。
少し冷めると甘みがちょっとだけ増しました。

雑味が出てしまい、素人が上手く淹れるには難しいドリッパーなのかなとも感じました。
V60ほど素直に「おいしいー」とぐびぐび飲めるコーヒーにはならず、全体的に旨みが引き出せていない感じを受けました。
ORIGAMIドリッパーは世界チャンピオンが使用したドリッパーではありますが、上手に使いこなすにはコツが必要なのかもしれません。

温度が下がるにつれ、ほっこりした香りが口の中に広がるようになりました。かぼちゃ・栗・さつまいも系のフレーバーです。
後半にかけてコク、香り、フレーバーが伸びていくようなコーヒーになりました。

落ちきり時間:5分30秒
5段階評価:甘み3.5、酸味4、苦み2、香り5、コク1.5

酸味(果実み)を感じやすいドリッパーでした。ドリッパーの引き上げを早めにすることで雑味を抑えられそうです。


k-ai ORIGAMI Airドリッパー(プラスチック)+アバカフィルター

ORIGAMI Airドリッパーは、ORIGAMIドリッパーと同じ形状で樹脂製タイプのものです。
軽量化されたことと価格がORIGAMIの半額程度となったことで、手を出しやすくなった印象です。

マットで半透明な色展開がORIGAMIとはまたひと味違って可愛らしく、こちらも集めたくなってしまいます。
果たして陶器製のORIGAMIドリッパーと味の違いはあるのでしょうか?

第一印象としては、けっこう香りが漂ってきました。
苦みというほどではないけれど、ナッツ感が出た抽出になりました。
酸味はあるもののそこまでキツくなくてマイルドな印象。酸味が甘みでコーティングされているような感じです。

全体的に飲みやすく、バランスよく抽出ができました。
ORIGAMI(陶器)との味の差が思いのほか激しかったので、抽出のブレを疑うレベルです。
同じレシピで抽出したはずなのですけれど……。

冷めてくると酸味にトゲを感じるようになってきました。
雑味も「味わいの複雑さ」ではなくて本当に単純に「雑味」であるところはORIGAMIと一緒です。
抽出の最後にポタポタ落ちる雫が落ちきるのを待たずに引き上げてしまった方が、スッキリと飲めると思います。

口の中でも香りが広がる一方で、コクは薄く感じました。
ぬるくなると雑味が気になるものの、飲みやすさは継続していました。
芋栗かぼちゃ系のほっこりしたフレーバーも顔を出してくるので、時間をかけて飲みたいときにORIGAMI Airドリッパーは良い選択肢のようです。

結論として、酸味と甘みがバランスよく綱引きしている味わいとなり、飲みやすさに繋がっていたと思います。

落ちきり時間:5分20秒
5段階評価:甘み2、酸味2、苦み3、香り4、コク1.8

飲みやすく、酸味と甘みのバランスが良いコーヒーとなりました。時間をかけて飲むのにも適しています。


カリタ ウェーブドリッパー(ステンレス)+ウェーブフィルター

カリタのウェーブドリッパーは、ドリッパー自体にリブが無い代わりに、波打った専用のフィルターがリブの代わりとなる特殊な形状のドリッパーです。
今回使用したのはステンレス製のシンプルなウェーブドリッパーですが、他にも銅製のもの、硝子製のもの、形状がお洒落なものとさまざまあって、見た目も、味わいも差が出てくるドリッパーです。

ウェーブドリッパーで淹れたコーヒーは、ナッツの香ばしさが感じられて今までで一番バランスの良い抽出となりました。
他のドリッパーでは感じられにくかった苦みも出てくれて飲みやすいです。
口の中に広がる香りも、甘さ:酸味:苦み=3:2:3くらいのバランスになっていて、ほっとする味わいです。

温度が少し落ち着くと全体的に味が馴染み、飲みやすさがさらに増します。
雑味はほとんど感じず、けれどクリア過ぎることもなくスペシャルティコーヒーらしい複雑な風味が感じ取れます。

温度帯が下がるにつれてだんだんと酸味が前に出てくるけれどもトゲトゲした酸ではなく、他の風味が酸を優しく包み込んでくれている印象です。
ORIGAMIシリーズで感じた「ほっこり系のフレーバー」は感じ取れず、ナッツ感が最後まで強く感じられました。

落ちきり時間:4分20秒
5段階評価:甘み3、酸味2.5、苦み3、香り4、コク2.5

雑味が出にくく、スペシャルティコーヒーらしい複雑な味わいが表現できました。ナッツ系の苦みも出てくれました。


カリタ 台形ドリッパー(陶器)+101濾紙ホワイト

カリタの台形ドリッパーは昔からある定番のドリッパーですが、ディズニーコラボのドリッパーがあるなど、可愛らしく今も現役で人気の高いドリッパーのひとつです。

円錐フィルターを使うドリッパーやウェーブドリッパーと違い真上から見ると楕円形で、抽出の際にお湯を注ぐのがやや難しいですが、正確にお湯を落としやすいドリップポットを使うと注ぎにくさも軽減されます。

台形ドリッパーで抽出したコーヒーは、一口含んだ瞬間に「あ、飲みやすい」と感じるバランスの良さでした。
日本人が好きそうなバランスで、最初から芋栗かぼちゃ系の「ほっこりフレーバー」が表に出ています。
その一方で酸味が抑えられている印象で、お陰で飲みやすく感じました。

口に含んだ時に感じる香りにも苦みが強めに感じられて、ナッツ系のフレーバーも強く出ています。
しかし口に残るフレーバーは強くなく、コーヒーを飲み込むとすぐに消えていってしまうのが物足りないところ。

印象としては「秋っぽい味」にまとまった感じに抽出できて、時期ともあっていて個人的にうれしかったです。
味の複雑さがキレイにまとまっていて、コクとして感じられました。
口当たりも心なしかトロリとして感じられました。

冷めると若干雑味が出てくるものの、「味が変わったなぁ、でもこれもおいしいなー」と思う範囲内でした。

落ちきり時間:4分40秒
5段階評価:甘み2.5、酸味1、苦み3.5、香り2、コク3.2

日本人が好きそうなバランスで抽出されたコーヒーになりました。苦みが一番出やすいドリッパーとなりました。


まとめ:ドリッパーごとの味の違いは?

V60透過ドリッパー ORIGAMIドリッパー ORIGAMI Air ウェーブドリッパー カリタ 台形ドリッパー
甘み 5 3.5 2 3 2.5
酸味 2.7 4 2 2.5 1
苦み 1 2 3 3 3.5
香り 6 5 4 4 2
コク 1 1.5 1.8 2.5 3.2
落ちきり時間 5分10秒 5分30秒 5分20秒 4分20秒 4分40秒

円錐系のフィルターは1点からコーヒー液が落ちる分、落ちきりに時間がかかりました。
一方で3つ穴のドリッパーたちはコーヒー液が落ちきるのが早かったです。
※落ちきり時間は「ポタポタ」が永遠に続いてしまうので、「このあたりかな」というところで引き上げており、だいたいの数字です

この実験を行うまで、「世界チャンピオンが使ったORIGAMIドリッパーがきっとおいしいはずだろう」と思っていたのですが、意外と抽出が難しいことに驚きました。

老舗のカリタ製ドリッパーが2種類ともおいしくバランス良く抽出されたので、特に初心者の方におすすめしたいです。
また、安くて手に入れやすいV60も大健闘をしており、安いからといって決して劣るドリッパーではないこと、むしろおいしく抽出できる能力の高いドリッパーであることが確認できました。


今回は中煎りのコーヒー豆で実験しましたが、焙煎度によっても味わいの感じられ方は変わってくると思います。
浅煎りのコーヒーの果実みをより強く感じられるように酸味が出やすいドリッパーを使う・酸味が強くなりすぎないように酸味の出にくいドリッパーを使う。
深煎りのコーヒーではコクを活かすためにコクの出やすいドリッパーを使う。
などなど、ドリッパーとコーヒー豆の組み合わせを考えるだけで楽しくなりますね。

抽出するお湯の温度を変えたり、フィルターを変えるだけでもコーヒーの味は変わります。

コーヒーはハマればハマるほど沼ですね。
コーヒーヲタクを読んでくださっている皆さんはとっくに沼にハマっているかもしれませんが、これからも楽しくコーヒーを味わっていきたいですね。

この記事を書いた人

MAAYA YAMASHITA

コーヒーを愛してやまないフリーランスWebライター。ツイッター⇒@mayacafe24