売上げの100%が生産国へ寄付される。マラウイのコーヒーを飲んでみました。

売上げの100%が生産国へ寄付される。マラウイのコーヒーを飲んでみました。

SPECIAL 2020.08.04

マラウイ共和国のコーヒー。
あまり聞き慣れない国名ですし、お店で見かけることもなかなか無いですよね。

今回ご紹介するのは、ウォームハーツコーヒークラブという団体が行っている取り組みのひとつ。
マラウイ産のコーヒー豆を購入すると、その100%が現地の給食支援として寄付されるというものなんです。

100%気になりますよね。

マラウイと日本を結ぶこの取り組みについて、実際にマラウイのコーヒーを飲んでみた感想とともにお話ししていきます。

 

マラウイ共和国ってどんな国?

コーヒー生産国でいうと、北からエチオピア、ケニア、タンザニア、その下にマラウイと続きます。
マラウイ 地図

内陸国で、国土は日本の3分の1ほどの大きさ。

アフリカで3番目に大きいマラウイ湖(なんと琵琶湖の46倍!)が南北にまたがっています。
マラウイ湖は国土面積の約20%を占めており、近くには世界遺産に認定された国立公園があります。

また、マラウイ南部には、南部アフリカ最高峰のムランジェ山があり、その麓には畑が広がっています。

マラウイ 畑

豊かな自然が目に浮かびますね。

人口は1800万人ほどで、共通言語はチェワ語と英語。
労働人口の約80%が農業関連事業に従事しているという農業国です。

主な農産品はタバコ、茶、ナッツ、コーヒーなど。

日本の輸入マカダミアナッツの約15%がマラウイ産。
実は知らないうちにマラウイのナッツを食べているかもしれませんね。

マラウイは国土のほとんどが高原で、降水量が多いのが特徴。
コーヒーの栽培には、標高の高さと一定量の日射・降水が必要です。
マラウイの環境はこの条件にとてもよく当てはまっていると言えます。

ちなみに、なぜ標高の高さが必要なのかというと・・・
標高の高い場所は1日の寒暖差が大きいので、豆が引き締まり、コーヒーの味も凝縮されるため。

→コーヒー豆の栽培・収穫についての過去記事もぜひご覧ください。
( https://coffee-otaku.com/archives/91 )

マラウイではこうした気候環境を活かして、生産量は少ないながらも良質なコーヒーが生産されています。

 

 

ウォームハーツコーヒークラブの取り組み

ウォームハーツコーヒークラブが行っているのは、
マラウイ産のコーヒーを販売し、売上の100%を生産国へ寄付する取り組み。
寄付金はマラウイの小学校や幼稚園の給食支援に使用されています。

売上のすべてを生産国へ寄付できるのは、この取り組みに賛同する複数の企業が関わっているため。

豆の仕入れから配送までにかかる作業や費用を、支援企業が負担することによってコーヒーの販売価格をそのまま100%寄付できる仕組みになっています。

マラウイ ウォームハーツコーヒー 寄付の仕組み

 

人口の約半分が14歳未満の子どもたちというマラウイ。
しかしながら、小学校に入学しても半数あまりの子どもたちが労働に従事するという理由で中退を余儀なくされています。

給食支援を行うことで、親が子どもを学校に通わせるようになるのがねらい。
そうすることで空腹を満たすのはもちろん、教育を受けて未来を切り開いてほしいという願いを込めて活動しているそうです。

マラウイ 子どもたち

また、ウォームハーツコーヒークラブのコーヒーは、国際フェアトレード認証のもとで取り引きされたもの。
この認証があると、豆を公正に取り引きするだけではなく、取り引きごとに奨励金が生産地に支払われる仕組みになっているそう。

奨励金は生産の向上や病院運営などの地域社会のために使われているようです。

 

ちなみに、ウォームハーツというのは、マラウイ共和国の別称が由来の言葉。

マラウイは独立後、内線や他国との対立戦争の経験がありません。
これはアフリカの国にしては珍しいため、マラウイは「The Warm Heart of Africa(アフリカのあたたかい心)」とも呼ばれているそうです。

私たち消費者は普段お店で見かけないマラウイのコーヒーを楽しめて、それが生産国の子どもたちへの支援になっている。心あたたまるとても素敵な取り組みですね。

 

 

実際にマラウイのコーヒーを飲んでみました

今回はウォームハーツコーヒークラブさんから、マラウイのコーヒー豆をサンプルとしていただきました。

ウォームハーツコーヒークラブ 豆袋

サイのマークが印象的。
アフリカの中で初めてサイのサファリを実施した国がマラウイなんだそう。
(ちなみにサファリとは、アフリカ大陸を移動しながら野生動物を鑑賞、狩猟することを指します。)

コーヒー豆は日本で毎週焙煎されているため、焙煎したての豆が届くようになっています。
煎り具合はレギュラー(中深煎り)と深煎りを選べます。

ウォームハーツコーヒー 豆袋 詳細

コーヒー豆はマラウイ北部州のミスク農園で栽培されたもの。
使用品種はゲイシャ種とカチモール種。
ゲイシャ種は日本でも馴染みのある品種ですよね。
(ゲイシャ種に関する記事はこちら

今回いただいたレギュラーの豆がこちら。

マラウイ コーヒー豆

油脂が少し出ていて表面がつやつやしています。
粒が揃っていて均一に焼けている印象です。

ドキドキの初マラウイコーヒー。
HARIOの V60ドリッパーを使って淹れてみました。

マラウイ コーヒー 淹れてみた

木材に囲まれたような、ウッディな香りがします。
イメージとしては、登山道などに敷き詰められている木を細かく砕いたチップのような香り。
香りからは、このコーヒーがどんな味か想像しにくいです。

実際に飲んでみると・・・飲み始めから最後までずっとシトラス!
レモンやオレンジなどの柑橘系ともまた違い、
漢方のような、ハーブのような、レモンやグレープフルーツのわた部分のような
渋みとも苦味とも違う、何とも言えない風味があります。言葉で表すなら、キシリトール感。

今回はドリップコーヒーにして飲んでみましたが、
爽やかな味わいでミルクにも合いそうな深みがあるので、アイスカフェオレにしても良さそうだな、と感じました。

香りといい、シトラス感といい、今まで飲んだどのコーヒーとも違う味わいでした。
いちど体験してみると面白いと思います。

 

 

コーヒーを飲んでマラウイとつながる

いかがでしたでしょうか。

この記事の執筆を通して初めて、私自身もマラウイについて知ることができました。

お店であまり見かけないコーヒーを飲むことができて、それが生産地への支援にもなる。

生産者にもやさしく、社会にもやさしいコーヒー。

 

ウォームハーツコーヒークラブのHPではマラウイ産の紅茶も購入することができます。

こちらもコーヒーと同じく100%が給食支援として生産地へ寄付されるものだそう。

気になる方はぜひチェックしてみてください。
団体スタッフさんのブログなども見ることができます。

 

この記事を書いた人

NANAMI HIGUCHI

文章を通してコーヒーにまつわるわくわくの共有ができれば、と思っています。
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