徳光珈琲 石狩本店

徳光珈琲 石狩本店

SHOP 2019.07.01

中央バスを『花川南2条3丁目』のバス停で降車し、歩くこと数分。
都市部から少し離れた住宅街の一角にひっそりと構えるコーヒーロースター、徳光珈琲 石狩本店があります。

コンクリートの壁が目を引く建物に足を踏み入れると、目に飛び込んでくるのが豊富な銘柄のコーヒー豆と色とりどりのコーヒー器具。
大きな窓からは柔らかな光が差し込み、店内に用意された3つのテーブル席でじっくりとコーヒーを味わうことができます。

徳光珈琲は石狩市内と札幌市内に合わせて3店舗を展開するスペシャルティコーヒー専門のコーヒー店。
その全店舗と現在およそ140店舗にも及ぶ卸先のコーヒー豆を焙煎しているのが、こちらの石狩本店。

開業してから約14年、代表取締役の徳光 康宏さんは今でもコーヒー教室の講師を自ら務め、コーヒー豆の生産地に足を運びコーヒー豆の品質確認を行うなど、コーヒーに対する情熱は全く変わることがありません。

どのような経緯でコーヒー業界に入り、どのようなこだわりを持ってコーヒーを提供しているのか。
じっくりとお話を伺っていきます。

コーヒー業界に入ったきっかけを教えてください。

元々コーヒーが好きで、喫茶店にもよく行っていました。
業界に入ったのは学生時代にアルバイトとしてアンセーニュダングルというカフェに勤務したのがきっかけです。

コーヒーを仕事にしたいと考えたきっかけがあったら教えてください

アンセーニュダングルで働いたのがきっかけで、大学2年の学校祭から3年連続で個人で珈琲店を出店しました。
通常模擬店で使われるような紙コップではなく磁器のカップを用意して、カウンターテーブルをしつらえ、ネルドリップでコーヒーを淹れました。
この時のお客様の感触もあって、将来はコーヒーに携わる仕事がしたいと考えました。

徳光珈琲代表徳光さんが学校祭で提供したコーヒーのメニュー

学校祭で実際に使用したメニュー

秤

当時購入したという秤

当時から自家焙煎のコーヒー店を開きたいと考えたのでしょうか

学生時代に札幌の珈琲店を巡る中で、クリアーな透明感のある味わいが印象的だったカフェ・ランバンに魅力を感じ、1年間働かせていただきました。
自家焙煎店であるランバンで働き、他の珈琲店も巡っていくうちに、自家焙煎でないと自分が最終的に納得できるものを提供できないと思い至りました。

当時はアルバイトを4つかけもちしていて、お金を貯めては東京や九州に行き自家焙煎店を巡っていました。
その中には後にお世話になる、世田谷の堀口珈琲もありました。

大学を卒業してから開業するまでの事を教えてください

大学を卒業してすぐに開業するのは難しいので、資金を貯めるためにサラリーマンとして7年間働きながら各地の専門店やセミナーに行っていました。
そんなある時東京勤務になり、その時に行った堀口珈琲のセミナーで、なんとなくですが求人の匂いを感じたんです。

ひょっとして募集していないですか?と店長に話をしたらスタッフを2人募集していました。
それからすぐ社長の堀口さんにお会いしたのですが、すでに1人は男性が決まっていて、もう1人は女性を取りたいという話だったんです。
なんとか考えていただけないかと話をして、翌日、堀口さんから話をいただいて、就職しました。
それから堀口珈琲で働きながら開店準備を進め、3年後に地元石狩で開業しました。

堀口珈琲ではどのようなお仕事をされていたのですか

喫茶やロースト、卸やケーキ作りに至るまで様々な仕事に携わらせていただきました。
そこで体験させていただいたことは今の仕事のベースになっています。

お店で働く以外に、開業に向けて行っていたことはありますか

堀口珈琲は当時から業務用の卸に精力的に取り組んでいました。
その卸先のレストランにくまなく行って身銭を削ってでも良いものを体験するようにしていました。

当時から、レストランで料理の後に美味しいコーヒーを提供してもらいたいという思いがあり、
そのためにはコーヒー以外の食全般のことをしっかり知った上で、美味しいコーヒーがあるんですよ、と提案しないと説得力がないと思っていました。

コーヒーを焙煎する技術はどのようにして習得されましたか?

サラリーマン時代から手回しロースターで焙煎を行っていました。
当時使っていたロースターは、南青山にあった大坊珈琲店で購入した500gのものです。

大坊珈琲店絵葉書

徳光さんが大坊珈琲店で手回しロースターを購入した時に頂いたという絵葉書

あとは堀口珈琲で学んだ経験と、世界中の生産地に実際に行き、自分の目でコーヒー豆のバックボーンを確かめた経験が味作りに生きています。

徳光珈琲で使用しているドイツ製焙煎機PROBAT

現在徳光珈琲で使用しているドイツ製の焙煎機

カフェのコンセプトを教えてください。

北海道ではなかなか味わえないハイエンドのスペシャルティコーヒーを堪能できるお店。
フルサービスを徹底した喫茶で、ハンドドリップのコーヒーを提供しています。
そのベースには、やはり一番最初に働いたお店のスタイルがあります。
フルサービスのお店でしっかり豆も販売していくスタイルを継続していきたいと考えています。

徳光珈琲石狩本店の店内 

喫茶とコーヒー豆の販売の両方に力を入れているんですね

喫茶でコーヒーを飲んでもらう業態とコーヒー豆を販売する業態。
同じコーヒーですが業態が2つあり、両立しているお店は少ないと思います。

両立させるには、喫茶でお客様に提供したコーヒーを美味しいと感じていただき、その上でそのコーヒーを自宅でも飲んでみたいと思っていただく必要があります。

そのためもあり、お客様に家でも美味しいコーヒーを淹れて頂くため、コーヒー教室を続けています。

徳光珈琲石狩本店で販売されているコーヒー豆

コーヒー教室はいつ頃から開催されているのでしょうか

開業当時から行っています。
元々は石狩店で行っていましたが、今は土曜日に円山店で、日曜日に大通店で行っています。

開業当初のコーヒー教室にはどのような方がいらしていたのですか

アンテナを張っている人達って地元の人ではなく、札幌の方が多いんです。
なので当時のコーヒー教室には円山や宮の森から来てくださる方が特に多く、コーヒー豆も購入してくださっていました。
そういう所での縁もあり、円山にお店を開きました。

コーヒー教室には色々なスタイルがあると思いますが、やっぱりプロがハンドドリップで落とすところを目の前でお見せするというのが一番シンプルだけどわかりやすいスタイルだと思い、ずっと続けています。

徳光珈琲ではハンドドリップの抽出にこだわりがあるんですね

そうですね。
しかし、ハンドドリップでの提供には安定した抽出が必須なので、スタッフは入ってから半年ほど練習が必要です。
練習をレクチャーをする人間がいいと判断した後に、私が最終チェックをします。
それで大丈夫だと判断してからお客様にコーヒーを提供するようにしています。

人材確保という点で大変な時代になってきているので、今後どのようにするか考えていますが、
やはりハンドドリップでコーヒーを提供する事の良さは必ずあるので、それを伝え続けていきたいと思います。

徳光珈琲代表取締役の徳光 康宏さんによるハンドドリップコーヒーの抽出

ハンドドリップでコーヒーを抽出する徳光さん

お店のPRをお願いします。

今後、徳光珈琲でしか味わえないコーヒーの提供を予定しています。
現在当店が所属している生豆の共同購入グループがあるのですが、グループ向けには取れないくらい小規模な農園の中にもクオリティーが高いものがあるんです。
それをなんとか持ってきてお客様に提供したいと考えています。

私は南米・中米・アフリカ・アジアの14カ国の生産地に行っていて、地域や農園毎にコーヒー豆の味が大きく異なるのを実際に感じています。
自分が見出した良質なものを追求していきたいと思います。

徳光珈琲はシングルオリジンだけでなく、ブレンドの種類も豊富ですがどのようなこだわりがあるのでしょうか

一般の方にとってブレンドといえば混ぜもの、安いものというイメージが強いです。
しかし、当店はトップクオリティーの豆を世界中から集めているのでそれぞれに個性があります。

シングルオリジンですと、単一の個性表現になっていまいますが、ブレンドすることで個性を組み合わせ、シングルオリジンには出せないような奥行きだったり立体的な味わいが実現します。
そういったこだわりから様々なブレンドにチャレンジしています。

コーヒー豆貯蔵庫の様子

豊富な銘柄のコーヒー豆は温度調節された貯蔵庫で徹底した品質管理が行われています

例えば、以前発売されていた期間限定のブレンド、母の日ブレンドはどのような味わいをイメージされていたのですか

母の日ブレンドはフローラルでちょっと優しい味わいをイメージしました。
その次に提供した父の日ブレンドは濃いめの味をイメージ。
季節のブレンドは同じ煎り具合が続かないように、メリハリをつけて作っています。

徳光さんのお気に入りのコーヒー豆があれば教えてください

やはり中米のコーヒー豆は外せません。
とはいえ一つに絞るというのも難しいですよね笑

あとはウォテのナチュラルだったりケニアのカイナムイだったりとか、インドネシアのリントンニフタ。
どれもすごく個性的なコーヒー豆ですので、そういった豆も外せません。

最近注目している産地があれば教えてください

ここ最近だと東ティモールのコーヒー豆は年々品質が上がっていると感じます。
ティピカ系の在来種なので貴重ですよね。

同じ在来種のコーヒー豆でも東ティモールとエチオピアで味が異なるのでしょうか

ワインと同じでテロワールが非常に重要になってくるので、全く異なる味わいです。

最後に、徳光さんにとって珈琲とは何でしょうか

志しを持ち続けられる大切なアイテムです。

生産地での品質確認、丁寧な焙煎と選別、貯蔵庫での管理とハンドドリップでの提供と、徹底的にコーヒーにこだわっている徳光珈琲。
その石狩本店は『お店は住宅街の中にありとてもわかりづらいところです。迷った際は遠慮せずに何度でもお電話下さい。』
とHPに記載されているほど、ひっそりとした場所にあります。
にもかかわらず足を運びたくなるのは、石狩本店独自の魅力があるから。

学生時代に開業する夢を抱いて研鑽を重ね、開業してからも絶えることない情熱を持ってコーヒーに向き合い続ける徳光さん。
その情熱を直に感じられる石狩本店で、こだわりのコーヒーを体感してみてください。

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堀口珈琲 / source: https://www.instagram.com/horiguchicoffee/

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徳光珈琲 石狩本店さんのコーヒー

INFORMATION

店舗名 徳光珈琲 石狩本店
住所 石狩市花川南2条3丁目185番地
TEL/MAIL 0133-62-8030
WEB WEB Facebook Twitter Instagram
営業時間 10:00-18:00
定休日 毎週水曜日(祝日の場合は木曜日休)・第二火曜日
焙煎機 PROBAT 半熱風式 12kg窯
エリア 石狩市
豆の販売 あり
その他 駐車場: 8台

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この記事を書いた人

SHO KONISHI

記事を通して、皆さんがコーヒーを楽しむお手伝いができればなと思っています。